2016iGEM

iGEMという大会に参加しました。(161027現在まだ結果は出ていません)(161101に結果が出て、UT-TokyoはSilver medalでした。)

iGEMは合成生物学の世界大会と銘打っている大会で、世界中の主に大学生が主に大学内で10~20人ぐらいのチームを組んで合成生物学っぽい研究テーマを決めて研究を行いその成果を発表します。今年のUT-Tokyoのプロジェクトは"Like does NOT beget like"です(和訳すると「カエルの子がカエルじゃない」みたいな感じです。ちなみに日本語の原題は「世代ごとに遺伝子発現が変わるやつ」でした。(リンク先はプロジェクト案を出した時のスライドです))

そもそも合成生物学とは何かふわっと説明すると、既にある生命はいろいろ複雑だしバリエーションが限られていたりしてよくわからないから自分でいい感じに改造してわかりやすくしてシステムを解明したりうまいこと改造して有用なシステムを自分でデザインしたとおりに作ったりしよう、みたいなモチベーションの学問領域です。iGEMではシステム解明よりも狙い通りの機能を持たせた生物を作るところが重視されがちです。

 

iGEMやUT-Tokyo、実験などについては複数回に分けて書いていくつもりです。今回はとりあえず強めに主張しておきたい部分の話をします。

 

 

まず、iGEMは大会であり、各チームに対してはその実績によって金メダルや銀メダルなどといった賞が用意されています。

勘違いされがちポイントですが、金メダルが1位、銀メダルが2位、銅メダルが3位、というわけではありません。科学オリンピックのようにメダルが上位何パーセントかに上から割り振られていくわけでもありません。各メダルごとにそれを獲得するために必要な条件というものが存在していて、銅メダル要件を満たすと銅メダルを貰えて、銅メダル要件と銀メダル要件を満たすと銅メダルの代わりに銀メダルが貰えて、さらに金メダル要件を満たすと銀メダルの代わりに金メダルが貰えます。

それぞれの要件の中にチーム間で競合するようなものは基本的にないため、メダルを各チームが奪い合うということはなく、事前に与えられた条件を満たせばそれに応じた色のメダルが貰えます。

肝心のメダル要件ですが、研究に関わってくる部分と研究全然関係ない部分があります。

研究に関わってくる部分は研究が全然大したことなくても金メダル要件を満たすことを目標にして活動すればたぶんそんなに苦労せずに満たせます。

研究に関わってこない部分を紹介すると、例えば銀メダル要件に「他のチームの支援をする」というものがあり、これを満たさないと金メダルどころか銀メダルも貰えないので、全チームがほかのチームの支援をしたがるという異様な光景が広がっています。(支援されている側が支援している側の銀メダル獲得を助けているということになり、結果的にどちらがより支援しているのかという話になってくる)

他にも社会への啓蒙みたいなことやそのプロジェクトと社会との関係の調査みたいなことがメダル要件として要求されたりしています。 

メダル要件のリンクと雑な和訳へのリンク貼っておきます。

メダル要件(standard trackの方です)雑な和訳

 

 

というわけで内実を全く知らずに盲目的に金メダル目指そうとか金メダルすごいとか賞を名前や聞こえだけで判断して讃えたり目指したりそれをわかっているうえで讃えられて喜んだりするのはあんまりよくないと僕は思っています。(これが今回言いたかったことです。)(金メダルを目指すことを否定しているわけではないし、金メダルを目指していた人の頑張りを見て応援したりいざ取れたら祝福するとかは全然いいと思います。)

周りの反応を見るに「金メダルならすごい研究をした」もしくは「すごい研究をすれば金メダルになる」と思っている人たちが多いように見受けられるのですが、そこに相関はあれどかっちりとした連結はないので、そのことをちゃんと理解しておいてほしいというか誤解したまま適当に評価してほしくないというかそんな感じです。(個人の意見です。)

どちらかといえばネガティブなことを言ってますが、世界中のiGEMに参加している人たちや各チームの研究がダメかというと全然そんなことはない(と僕は思っている)ので、それぞれのチームのwikiを読んだり最初にイメージされる賞の像ともう少し近いような賞(部門賞みたいなものが別に存在します)をチェックしたりすることでちゃんと判断してほしいです。(これも今回言いたかったことです。)